日本の住宅地の街並みには、戸建住宅とアパートやマンションなどが混在して建っています。じつは住まい方も住む人の層も違うので、あまり健全な姿とはいえません。
都市計画が発展してきた西欧諸国では、このような街並みはあまり見かけません。
たとえば、同じ住宅地でもシングルファミリーとマルチファミリーで区別されています。シングルファミリーとは、1棟の家の中には、一家族しか住んでいません。マルチファミリーになると、複数の家族が住む、いわゆる集合住宅となります。少なくとも道路を隔てて区画は、住み分けされています。
しかし、じつはこの区分だけではありません。さらに細かく、住宅の用途が分けられています。その区分とは、マルチファミリーの家は、基本的には4戸を上限として、5戸以上の家は、コマーシャルハウス、つまり商業用の家として扱われ、利回りがすべての要素となります。資産価値としての家という感覚からは、すこし変わってしまいます。
私たち日本人には、このような感覚で家を見ることはありませんが、改めてそのような目で日本の住宅地を見ると、まるで病巣が散在しているかのようにも思えてきます。
健全な住まいは、健全な街並みにあってこそ真価が発揮されます。安易なアパート建設を認めない新興住宅地があるのもそのためです。同じように住宅街に、心ないミニ開発が街並みを壊している側面もあります。
今まで住んでいた人の建替えや大規模なリフォームがあることは、その街の、いわば善玉コレステロールようなもので、健全な街としての兆候と考えることができます。新居の街を選ぶ時、あるいは今住む街を健全化すると考えた時には、この感覚を持っていると、堅実な選択ができるかもしれません。
